長く続くセキで患者様が来院された際の診療の流れを紹介いたします。

1)診察室に入りましたら以下のことを質問させていただきます。

1. 小児喘息を含め気管支喘息の既往があるかどうか
2. アレルギー性鼻炎・花粉症・副鼻腔炎・いびきがあるかどうか
3. 痰が出るかどうか・出るとしたら何色か
4. 夜間にセキが多いかどうか

5. いままでの服薬内容(セキ止め・抗生物質・気管支拡張剤)
6. 動物飼育の有無
7. 寝ている最中にセキがでているかどうか 
8. 過去に同様の症状で長期間セキが続いていたことがあるかどうか

2) 問診後聴診器で細かく聴診いたします。
  
聴診の際はゆっくりとした呼吸と息を強く十分に吐ききってもらう努力をしてもらいます。軽い喘息の方は息を強く十分に吐ききってもらう努力をしてもらうことにより、聴診上ハイピッチの乾いた音が聞こえることが多く、診断の大きな助けになります。

長く続くセキの原因として、気管支喘息が有名です。気管支喘息は小児時に発症する病気と思っている方が多いようですが、何歳からでも発症しますし(70〜80歳台でも)、いままでまったくアレルギーがない方でも発症します。診断にはきちんとした聴診と呼吸機能検査呼気中の一酸化窒素(FeNO)測定が重要です。また気管支喘息以外にも以下のような病気などがあります。

a.アトピー性咳嗽 

 もともとアレルギー性鼻炎のある方が、風邪(ウイルス感染)をきっかけにして、風邪の改善後、アレルギー性の炎症が残り、そこから化学物質(ヒスタミン・ロイコトリエンなど)が放出され、セキが続く病態です。

b. セキ喘息 
 喘息と異なり、ゼーゼー・ヒューヒューという特徴的な音はないの
ですが、セキ発作を特徴とし、喘息の方と同様に気管支収縮物質に過敏な状況です。最近喘息の初期とも考えられています。気管支拡張剤に反応します。

c.心因性咳嗽 

 ストレスからくるセキで就寝中・ものごとに集中しているとき・楽しいことをしているときには出ません。午後から夕方にかけて悪化します。軽い方は半夏厚朴湯、症状強い症例は安定剤を用います。

d. 喉頭アレルギー
 長期にわたるセキと咽喉頭異常感(イガイガ感・かゆみ・チクチク感など)が主症状で、急性咽頭炎の所見がなく、咳止めに反応しな
いのが特徴です。ストレスが原因の心因性咳と合併していることが多いのが現状です。
e. 逆流性食道炎
中年女性に多く消化器症状を感じない症例もあります。プロトンポンプ阻害剤などで治療します。

喘息・咳喘息・アトピー性咳嗽にアレルギー性鼻炎・副鼻腔炎からの後鼻漏が合併している症例が90%以上です。強力な抗ヒスタミン剤+吸入ステロイド剤+長時間作動型気管支拡張剤の吸入でで90%近くの方が改善します。

e. その他 ・気管支結核・肺癌・間質性肺炎など
があげられます。


 お願い

 気管支喘息と上記の病気を鑑別するために、呼吸機能検査に加え胸部レントゲン写真撮影が有用な場合が多いため、検査に多少時間がかかります(合わせても10分程度です)。ただし結果の説明に多少時間を必要とします。そのため検査の患者様が重なりますとお待たせすることがありますのでご了承いただければ幸いです。

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セキが続く方 Part 2